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2006年08月10日

◆夏の行事、お盆・盂蘭盆会(うらぼんえ)(十)

◆夏の行事、お盆・盂蘭盆会(うらぼんえ)(十)


◆夏の行事、お盆・盂蘭盆会(うらぼんえ)(十)

◆◇◆「お盆」「盂蘭盆会(うらぼんえ)」、日本人の先祖観と先祖祭り

 民俗学を創始した柳田國男によると、「先祖の霊は神となって、子孫のために作物が豊かに稔ることを見守ってくれる。だから、作物が取れたら、それを供物として祖霊神に捧げ、共に喜びを分かち合って、これを共食し、新しい年の豊穣を祈る。豊穣を祈る祭りは、そのまま祖霊を祀ることになる」と説明している。

 日本人は、食物が新たに稔るのを祈る事と、神や祖霊を迎え、共に過ごすことを、一心同体として、年中行事や祭礼の中に伝承してきたといえる(※注1)。また、十五日は、太陰暦の時代はこの日は満月であり、昔は明るい夜を提供してくれる満月の夜に様々な祭りが催されていたのである。「お盆」もそうした古い祭りの一つなのかもしれない(※注2)。

※参考Hints&Notes(注釈)☆彡:*::*~☆~*:.,。・°・:*:★,。・°☆・。・゜★・。・。☆.・:*:★,。・°☆

(※注1)民俗学からみた日本人の霊魂観によると、人が亡くなった後の魂は三つの段階を辿るそうだ。(1)死霊と荒魂、(2)祖霊と和魂、(3)神霊と氏神の三段階です。

 (1)死霊と荒魂については、人がなくなるとその魂は、不安定な「死霊」となって家の付近を彷徨うと信じられている。ときには生きている人に害を及ぼすこともあるので、荒々しい魂という意味の「荒魂」とも呼ばれる。そこで家の人は死霊を大切に鎮める必要があり、仏教の追善供養や神道の鎮魂・慰霊祭が営まれる。死霊(荒魂)は、大切にお祀りをしてもらうと、その家のわざわいを除き、幸福をもたらしてくれる除災招福の力がある、と信じられている。

 (2)祖霊と和魂については、ほとんどの家では、追善供養を仏教で行う。最初が「四十九日」で、七日ごとに七回お寺に法要をしてもらいう。次が百日目、あとは一周忌、三回忌、十三回忌という風に、すこしずつ間をあけながら仏壇やお墓で供養する。こうして死霊は、年月とともに荒々しさも消え、安定し、やがてなごやかな魂という意味の「和魂」とよばれる家の祖霊となって行く。祖霊は家族や子孫に災いや害を及ぼすこともなくなり、むしろ繁栄と恩恵をもたらすと考えられている。

 (3)神霊と氏神については、家族の供養をうけて三十年ほどすると、祖霊は血縁の家を離れ、個性を持たない霊になると信じられた。祖霊は、同じ地域(地縁)の神様の仲間に入るので「神霊」とよばれる。これが村の「氏神様」である。鎮守の森(神社)では、村中で氏神様をお祀する。氏神様は村全体の繁栄、とくに農業が中心だったころは豊作(五穀豊穣)をもたらし、人びとの安全や願いを叶える一方で、人々の生き方によって天災をもたらす、恐ろしい一面もある。ちなみに三十三回忌または五十回忌が終わると家の供養から完全に離れるので、「弔い切り(問い切り)」といって、戒名を書いた位牌を処分し、お墓を倒す「墓だおし」を行うところもあるそうだ。

(※注2)「日本では祭というたった一つの行事を透して(通して)でないと、国の固有の信仰の古い姿と、それが変遷して今ある状態にまで改まってきている実情は、窺い知ることができない。その理由は、諸君ならば定めて容易に認められるであろう。現在宗教といわるるいくつかの信仰組織、たとえば仏教や基督教と比べてみてもすぐに心づくが、我々の信仰には経典というものがない。(中略)説教者という者はなく、少なくとも平日すなわち祭でない日の伝道ということはなかった。以前は、専門の神職というものは存在せず、ましてや彼等の教団組織などはなかった。(中略)その教えはもっぱら行為と感覚とをもって伝達せらるべきもので、常の日・常の席ではこれを口にすることを憚られていた。すなわち年に何度かの祭に参加した者だけが、次々にその体験を新たにすべきものであった。温帯の国々においては、四季の循環ということが、まことに都合のよい記憶の支柱であった。」(『柳田國男全集十三』ちくま文庫「祭から祭礼へ」)。


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Posted by スサノヲ(スサノオ) at 15:59│Comments(0)スサノヲ(スサノオ)の日本学
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